クラウドセキュリティとは?クラウドの種類ごとのリスク・対策方法も

2023年3月17日 Column

クラウドセキュリティとは?クラウドの種類ごとのリスク・対策方法も

本コラムでは、これからクラウド利用を進める方や、既に利用していて安全性に不安がある方などに向けて、セキュリティのポイントについて解説いたします。

クラウドセキュリティとは、クラウド環境における情報漏洩などのリスクを下げるための、対策のことです。近年はクラウドを活用する企業が増えている一方で、インターネット経由で情報を管理する特性上、脅威にさらされるリスクもつきまといます。

この記事では、クラウドセキュリティについて、基本情報から、SaaS・IaaSなど種類ごとの対策ポイントまでを解説します。

 

1.クラウドセキュリティとは?

クラウドセキュリティとは、クラウド環境における情報漏洩などのリスクを下げるための、対策のことです。

クラウドは導入がしやすく運用管理の負担が減ることから、クラウドを利用する企業が増えています。導入のしやすさから、情報システム部門以外での独自利用も発生しており、情報システム部門が状況を把握・コントロールできないといった課題もあります。クラウドシステムは、インターネットがあればどこでも利用できますが、外部不正・内部不正によってデータ漏洩する危険もあります。安全に利用するために、クラウドセキュリティを強化することは非常に重要です。

 

1-1.そもそもクラウドとは?

そもそもクラウドとは、ハードウェアやソフトウェアを導入しなくても、オンライン上でサービスが利用できる形態のことです。インターネットが使える環境があればよいため、端末や場所を選ぶことなく利用できます。

必要なタイミングで、必要な分だけ、必要最低限の金額で利用開始できることから、クラウドが広まりました。

代表的なクラウドの種類には、SaaS(サース)・PaaS(パース)・IaaS(イアース)の3つがあります。SaaSはソフトウェア、PaaSは開発環境、IaaSはサーバーを提供するクラウドです。

 

1-2.クラウドセキュリティの必要性

クラウドを利用すると、企業情報やユーザーの個人情報などの重要なデータを、インターネット上で管理することになります。クラウドは便利な一方で、設定不備やヒューマンエラー、悪意ある攻撃などがあると情報流出する危険性をはらんでいます。構築時に設定した状態が運用フェーズでも変更されることなく、脆弱性を突かれ事故につながるといったケースが発生しています。

情報漏洩などの事故を防ぐには、クラウドセキュリティが重要です。攻撃者の検知やユーザー行動の監視、不正アクセスやアカウント乗っ取り防止など、あらゆるリスクに対応できる対策を講じる必要があります。

また、単にセキュリティ対策を施すだけでなく、日々移り変わる脅威への対応ができているか、対策の有効性を確認することも大切です。

 

1-3.オンプレミスのセキュリティとの違い

クラウドはサービス提供事業者がデータ管理していますが、オンプレミスは自社にサーバーを設置してデータ管理しています。自社基準で自由にカスタマイズでき、高いセキュリティレベルを追求できるのがオンプレミスセキュリティの特徴です。

クラウドはセキュリティ機能のアップデートが自動で行われますが、オンプレミスは自社で行う必要があります。コストも従量課金制のクラウドに比べて、オンプレミスのほうが高くなりやすいです。

クラウドとオンプレミスはそれぞれメリット・デメリットがありますが、セキュリティリスクはどちらにも存在します。それぞれに適したリスク対策を施さなければなりません。

 

2.クラウドのセキュリティリスクと対策

クラウドのセキュリティリスクには、システム障害や内部不正・外部からのサイバー攻撃による、サービス停止やデータ消失・情報漏洩などがあります。

ある企業では、セキュリティ情報の設定不備によって不正アクセスを受け、住所や口座番号などを含んだ情報が流出する事故が起きました。被害を防ぐには、リスクごとにセキュリティ対策を講じることが重要です。

ここでは、SaaS、IaaS/PaaS利用時のセキュリティリスクと対策について紹介します。

 

2-1.SaaS利用時

SaaS利用時には、以下のような内部不正・外部不正のリスクがあります。適切な対策を実施し、リスクを低下させましょう。

内部不正
リスク 対策
未許可のクラウド利用 会社・個人・部署のクラウドサービス利用を可視化し、ルールに則った利用のみに制御する。
機密データの不正アップロード、ファイル漏洩 情報セキュリティポリシーに違反するアップロードを防いだり、ファイルを自動暗号化して情報漏洩対策したりする。
外部不正
リスク 対策
マルウェアによる攻撃 アクセスログを常時監視し、マルウェアを検知したらただちに対処する。
ID流出によるなりすまし パスワードを複雑なものにする、ログイン時の二段階認証を実施する。

 

2-2.IaaS/PaaS利用時

IaaS/PaaS利用時には、以下のような内部不正・外部不正のリスクがあります。不正をすぐに検知する、情報が漏れても他者が解読できないようにする、などの対策が必要です。

内部不正
リスク 対策
ファイル漏洩 クラウドへアップロードする際、ファイルを自動暗号化する。
データベース不正利用 データベースをリアルタイムに監視し、ルールに違反する不正操作を警告する。
外部不正
リスク 対策
脆弱性を狙った攻撃 WAF(Webアプリケーションファイアウォール)を導入して攻撃を検知する。
仮想リソースへの攻撃 IaaS/PaaS環境運用支援ツールを導入し、未申告で契約しているIaaS/PaaSを検知する。

 

3.クラウドセキュリティ対策のポイント

クラウドのさまざまなセキュリティリスクを防ぐためには、主に3つのポイントがあります。ポイントを押さえ、自社システムを数々の脅威から保護しましょう。

以下では、セキュリティ対策の代表的なポイントを解説します。加えて、総務省が公表している「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」も参考にするとよいでしょう。

参考:総務省「「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)」(案)に対する意見募集の結果及び「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)」の公表」

 

3-1.安全なクラウド選び

安全なクラウドを選ぶには、選び方の基準を押さえておくことが大切です。総務省の「国民のための情報セキュリティサイト」では、以下の7つのセキュリティ対策を適切に行っているクラウドサービス事業者を推奨しています。

  • データセンターの物理的な情報セキュリティ対策(災害対策や侵入対策など)
  • データのバックアップ
  • ハードウェア機器の障害対策
  • 仮想サーバなどのホスト側のOS、ソフトウェア、アプリケーションにおける脆弱性の判定と対策
  • 不正アクセスの防止
  • アクセスログの管理
  • 通信の暗号化の有無

引用:総務省「国民のための情報セキュリティサイト」引用日2022/12/16

利用するサービスによって必要となる項目やレベルが異なるため、自社に必要なセキュリティ対策をしている事業者を選ぶようにしましょう。

 

3-2.自社における対策の強化

企業側の設定ミスを狙ったクラウド攻撃も多いため、セキュリティをサービス事業者に任せるだけでは安心できません。セキュリティの設定を見直し、自社における対策を強化する必要があります。

SSLサーバ証明書などで通信データを暗号化したり、ワンタイムパスワードや二段階認証でアクセス制御を強化したりしましょう。また、特にサービスIaaS、PaaSでは、構築したシステムに脆弱性がないか確認するために、定期的にセキュリティ診断を実行することも有効です。さらに、定期的なセキュリティ診断は現状の複雑なクラウド設定を可視化し、より安全性の高い設定を実現します。

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3-3.社員教育

脆弱性のないシステムを構築するために、エンジニアにセキュリティ教育を施すことも重要です。どのようなリスクがあるか知ることで、一人ひとりのセキュリティ対策への意識が高まります。システム構築の際に考慮すべき項目が分かれば、より安全なシステム開発につなげられるでしょう。

セキュリティ教育は社内で行うのもよいですが、教育体制を整えるのが難しければ社外の研修を活用するのもおすすめです。ネットワーク・サイバーセキュリティ対策、情報システムの脆弱性診断、安全なWebアプリの設計方法などを、オンラインで受講できる研修もあります。研修後に試験を受け、情報セキュリティの資格を取得することも可能です。

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まとめ

自社でサーバーを設置するオンプレミス環境と異なり、クラウド環境はサービス提供事業者のサーバーでデータが管理されています。クラウドは便利である一方で、企業データ漏洩や不正アクセス、サイバー攻撃などのセキュリティリスクにさらされることがあります。

そのため、自社に合ったサービス事業者選びをしっかりと行った上で、サービス事業者にセキュリティ対策を任せきりにするのではなく自社でも対策を行いましょう。例えば、クラウド設定の定期的な見直し、通信データの暗号化や定期的なセキュリティ診断などが有効です。さらに、クラウドシステムをセキュアに構築・運用できるエンジニア教育も重要になります。

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