五洋建設株式会社 様|スマートデバイス 安心導入・運用サービス
目次
~ 五洋建設の選択 ~
海洋土木工事のリーディングカンパニー、五洋建設株式会社様(以下、五洋建設)は、先端技術を駆使した工事に定評があり、マリンコンストラクターとして国内は元より世界の海へと進出しています。五洋建設様では、グローバルに活躍する社員の業務の効率化という観点から、スマートデバイス導入について、いち早く取り組まれていました。今回、スマートデバイス導入に踏み切った経緯とその活用方法を、五洋建設株式会社 経営管理本部経営企画部 ITグループ長 大久保様に、スマートデバイス 安心活用アドバイザリーサービスを推進するGSXの青柳がお聞きしました。
青柳
まず、スマートデバイスを業務で使用することを検討されたきっかけを教えてください。
大久保
スマートデバイスに限らず持ち運べるサイズのデバイスは、いずれ業務に使えるようになるだろうと注目していました。当初スマートフォンが出てきた時には、企業がビジネスユースで使用するのはもっと先になるだろうと漠然と思っていました。3.11の震災後くらいでしたか、スマートデバイスが爆発的にコンシューマーへ浸透していくのを目の当たりにしました。その波に乗り遅れることなく早い時期に手を打っていこうということで、まだビジネスユースで使用できるかわからない状況でしたがとにかく検討しようと動き出したのがきっかけです。
青柳
2011年の後半あたりでしょうか?
大久保
そうですね。2011年の9月・10月くらいにまず、IT部門の予算内でテスト機を3台導入し、調査研究という位置づけで実際に業務で使えるかどうか自分たちで試そうと試験運用を開始しました。
青柳
その後、2012年の2月・3月くらいに東京土木支店を含めて数十台のテスト機を導入されましたよね。
当初IT部門で試験運用していたところから、東京土木支店を含めていろんな部門で試してみようとなったのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
大久保
実は、2011年の年末くらいに同じように考えている人が東京土木支店にもいて、スマートデバイスを業務で活用した方がいいんじゃないかという相談がきました。
青柳
その相談というのは?
大久保
「ペーパーレス会議で使用してみたい」という内容の話でした。私達は、いかに営業シーンで使うかとか現場で図面を確認したり、メールチェックや社内の業務など一般的に想定される用途でのテストを行っていたのですが、彼ら現場の社員が言ってきたのは「ペーパレス会議で使ってみたい」と、当初私達の想定になかった用途でした。実際、それをテストするとなるとそれなりの台数と人数が必要になります。そこで、東京土木支店でテストを行うために2012年1月から3月の3か月間、iPad 30台をレンタルで導入してプレ試験運用に踏み切りました。「これは業務での活用が上手くいきそうだな」という、ある程度の見通しがついたので、2012年の春から実際にテスト導入という形で iPad 70台を導入しました。当然、テスト導入となれば『 導入すること 』を大前提で私達は動きたかったので、会社の体制を整えることが急務となり、上期の9月までをターゲットに体制を構築し、2012年 秋からは正式に本格導入を実施していくことを目標に動き出しました。
青柳
使ってみたいと社員の方から提案されたペーパーレス会議ですが、その効果についてはいかがでしたか。
大久保
2012年9月現在、かなり効果がでていますね。紙や印刷のコストは単純に金額で比較できますから。ペーパレス会議が浸透していった結果では、8~10か月程度で用紙の削減コストとiPadの導入費用がトントンになって、それ以降はコストダウンが図れると見ていました。現在、その予測を追い抜く勢いでどんどん印刷コストが下がっている状況です。そしてもっと重要なのは、人件費に直結する時間短縮が実現できたことです。会議資料などは、修正があると差し替え版をさらに印刷・配布という作業が発生していました。クラウド上に資料を置いて、参加者が閲覧できればその場で修正して更新できるし、迅速でスムーズな対応が実現できる。時間・コストともに削減でき、効率化を促進できたと思います。
青柳
ありがとうございます。では次に、テスト導入が決まってからの体制や、委員会やプロジェクトについては、どの部門の方々が参画し、どのように進められたのでしょうか。
大久保
五洋建設の考え方は、なんでも社内で解決する文化が根付いていて、情報セキュリティポリシー策定も自ら勉強会などを開いてディスカッションをしながら作り上げました。当初はそれにならい、ITと法務部門で現在あるポリシーの見直しなどを行っていこうと進みだしました。ところがスマートデバイスの取り扱い方については、パソコンなどの情報端末と比べて、180度考え方が違っていました。そこで暗礁に乗り上げました。
企業における情報危機管理の考え方と、スマートデバイスのような新しい情報端末というのは用途や成り立ちが違うため、今ある規則を新しい情報端末に適用しようとしても上手くフィットせず、発想の転換が必要であると痛感しました。 新しい視点やアドバイスをもらうために、外部の人に入ってもらう必要性などについても考えました。
青柳
社内導入の運用や社内規定のところで、従来の内製ではなく外部の人間を入れる必要性を考えたのは、なぜでしょうか。
大久保
「スマートデバイスには、違う考え方が必要だ」と思ったのが一番大きいですね。社内で考えていくと、どうしても今までの社内規則や従来のパソコン管理の考え方から発想が抜け出せません。発想の転換が必要なのであれば、当社の規約などを知らない外部のコンサルタントを入れて指摘してもらった方がいいだろうと考えました。
青柳
なるほど。コンサルタントを選ぶ時のポイントとして何か考えられていたことはありますか。また、GSXを採用された理由について教えてください。
大久保
最終的に自分たちでわかっていないと運用できないので、一緒に考えてくれるパートナーとしてのスタンスで入っていただくのが、一番当社にフィットしていると考えていました。まだスマートデバイスの導入・運用について悩んでいる時に、ちょうど青柳さんとの雑談の中で、「スマートデバイスの導入をこんな風に悩んで迷っているんだよね」と、相談したのがきっかけだったように思います。
青柳
そうですね。その際にスマートデバイス導入・運用に関する考えの整理もかねて、一度弊社のコンサルタントと一緒にディスカッションする場をお勧めさせていただきました。そのディスカッションを通して、弊社のコンサルタントにまかせてもいいかな?という考えに至ったということでしょうか。
大久保
意見交換するというのが一番の目的だったので、最終的に成果物としていくつか案を作っていただきましたが、今思えば、私はそこに至るまでの過程が大事だったと考えています。最初から今回のようなディスカッションができるのであれば、それに越したことはないと強く思います。
青柳
ありがとうございます。実際、GSXをご採用いただいてから、コンサルタントが具体的に行ったコンサルティングはどういったものでしたでしょうか。
大久保
当社の状況とこれから実施したい内容を説明させていただいて、今まではリスクから体系的に整理するアプローチがなかったので、それを見えるような形で、こういうところには、こういったリスクがあるという道筋を明確に示してもらえました。
青柳
リスクを可視化できたということですね。
大久保
そうですね。そのリスクを冷静に見てどのような対応を取っていけばよいのか、本来順を追ってやっていくべきところを、きっちり一緒にやってくれたということが、心強く、得るものが大きかったように思います。そして、最初の段階の何もわからない状況で議論することで、自分自身の頭の中が整理できたということが一番良かったですね。また、成果物としてガイドラインや運用管理基準書ができあがりましたが、最終的に『規則は一度決めたらそれで終わりじゃなく、いつでも変えられるような仕組みにしておかなければならない』という考えに辿り着きました。よって、社内規則は一切いじらず、スマートデバイスはパソコンとは全く違うものだと認識し、全体で社内規則とも齟齬がないようにきちんと管理する手法を作り上げることができました。たぶん、あのまま自分たちで進めていたら、社内規則に手を入れることを前提に進めていたと思います。後に、技術が進歩して新しいサービスがでてきた時にも、対応できるような仕組みとなりました。
青柳
五洋建設様では、『BYOD*』を取り入れようとされていますが、当初BYODを採用しようと思ったきっかけは何なのでしょうか。
* BYOD【Bring Your Own Device】企業などで従業員が私物の情報端末などを持ち込んで業務で利用すること
大久保
スマートデバイスを使う一番の目的は、業務の効率化を図るということですから、業務の効率化を図れるのであれば細かい縛りは入れたくありませんでした。実際、私個人としても使い勝手をよくするために自分好みに使いたいという考えがありましたので、導入するのであればBYODは必要だろうと思っていました。否定するよりも積極的に肯定する考え方です。社内でも「BYODを導入したい」という話はずっとしていました。もちろん周囲では「えぇー」というような困惑した反応もありました。
青柳
その話は、セキュリティの強制力という観点に関わっていて、一番企業様が悩むポイントでもあります。そこはどのように解決していこうと思われたのでしょうか。
大久保
私の持論ですが、「どんなにセキュリティを強くしても、漏れるものは漏れる」。だったら、情報は漏れるという前提で考えておいて、規則や物理的なもので縛るのではなくて別の縛りでいいのではないか。それが誓約書という手段なのかもしれないし、あるいはBYODでも、「もし万が一の時には強制的に遠隔消去します」という内容で同意を得るということもあると思います。もちろん、漏えいしないための準備は必要です。でも、漏れることを恐れるがあまり規則で縛り、使い勝手を低下させるというのは本末転倒ではないかとも思います。悪意を持たれたり、狙われてしまったらどうしようもないわけですから、予算のある中でどこまでやるのかということと、危険性などを秤にかけて業務遂行とのバランスを考えれば良いと思っています。
青柳
次に、漏えいしないための準備としてMDM*導入がありますが、MDMに望むことは何でしょうか。例えば、MDMは緊急で対応するということと、資産を管理するということの両面があると思うのですが、やはり緊急対応を重視されていますか?
* MDM【Mobile Device Management】モバイルデバイス管理を意味する。各デバイスの使用状況などの把握やポリシーの適用、ユーザごとのアプリケーションのアクセスや利用の制御などを一元的に管理するシステムのこと
大久保
基本的にはそうですね。MDMでいろんな機能があって制限も付けられますが、私は制限を設けるより効率化を考えて制限はつけない方がいいと思っています。 ただ、何かあった時に、会社としてきちんと何らかの対応がとれる機能を持っていることがポイントになってきます。それを使うかどうかは別にして、万が一の時には会社として素早く対応ができるということがMDM導入で一番重要なことだと思っています。
青柳
最後にスマートデバイス導入後の社内展開のポイントとGSXに期待することがあればお聞かせください。
大久保
BYODでもそうですが、使いやすいようにアイデアを発揮して、自分なりの使い方ができる社員がいると社内での浸透度合が全然違います。実際に使いこなせる人がドンドン使用しているのを見せることで、自分も試してみようという雰囲気になります。自主性が出てくればしめたものです。今回はこのような社員の協力もあって展開されたので、周りに良い影響を与え相乗効果を発揮したと思います。それが何よりの収穫でした。ただし、本格展開になると知見を有した第三者がリスクの本質を含めて訴求した方が、社内に浸透もしやすいと思っています。事業部門のみならず各支店への展開についてもお手伝いいただければと思っています。
情報漏えいを防ぐ準備は必要です。でも、漏えいを恐れるがあまり規則で縛り、使い勝手を低下させるというのは本末転倒ではないかとも思います。予算のある中でどこまでやるのかということと、危険性などを秤にかけて、業務遂行とのバランスを考えれば良いと思っています。
(五洋建設株式会社 大久保 氏)
会社名
五洋建設株式会社
本社所在地
東京都文京区後楽2-2-8
設立
1896年(明治29年)4月
資本金
304億4900万円(2012年3月31日現在)
従業員数
2,391名(2012年3月31日現在)
事業内容
建設工事の設計及び請負、コンサルタント及び測量業、
地域・都市開発及び海洋開発業、不動産業、環境整備・公害防止業、
鋼橋及び鋼構造物製作・架設業、砂利・土砂採業 など
※スマートデバイス 安心活用アドバイザリーサービスは、『スマートデバイス 安心導入・運用サービス』のコンサルティングフェーズのサービス名です。
五洋建設株式会社様 導入事例紹介リーフレット (PDF 1.3MB)
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