兼松株式会社 様
目次
商社には総合商社と専門商社があり、兼松様はどちらの特徴も併せ持つ独自ポジションの商社になります。
他業界同様に激しい競争環境の中、兼松は総合商社の特徴である幅広い事業分野において、専門商社のように高い専門性と機動力を有しており、近年利益規模を拡大しています。
そのような背景の中、兼松様は更なる成長に向けて2024年4月16日に「中期経営計画「integration1.0」」を発表し、
「DX:ICTソリューションの強化、グループシナジー最大化」「GX:脱炭素化・サーキュラーエコノミーの創出」「Innov.:先進的な技術とビジネスモデルの探索と実装」の3つを提供価値と掲げ、グループ一体経営によるシナジーと専門性を掛け合わせることにより差別化を図っています。
出典:兼松株式会社「中期経営計画「integration1.0」」P.15
兼松様は国内外に130社以上のグループ会社との2万社の顧客基盤を持ち、かつ、事業をグループ会社に任せるのではなく、自社でもトレーディングを行うことで、知見や商材の専門性を持ち合わせている点が強みとなっています。電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空などサプライチェーンを構成する企業をお客様に多く持ち、DX推進やセキュリティ対策へのニーズも旺盛です。そのような顧客ニーズへの対応を強化すべく、2023年にはICTソリューションを提供する兼松エレクトロニクス(以下KEL)に対しTOBを行い、2024年4月からは同社をICTソリューション部門としてセグメントの一つに据えることで、DX推進の実効性を高める体制を整えました。また、KELはGSXの株式を取得しており、長年にわたりKELのお客様に対しGSXが提供するサイバーセキュリティサービスの提供を推進してきました。KEL、GSXをはじめとするパートナーシップを組み、各社が有するソリューションを兼松様のお客様に提供していくことによりDX推進を実現していくことが「中期経営計画「integration1.0」」で掲げられています。
出典:兼松株式会社「中期経営計画「integration1.0」」P.16
DX推進を実行していくにあたっては、松浦様が所属するグループ成長戦略推進室が旗振りを行い、関係部門・グループ企業への情報提供や引き合わせ、人材育成プログラムの提供、制度設計などを各所と連携することで実現しています。中期経営計画「integration1.0」では3年累計でICTソリューションを中心に約400憶を投じる計画が立案されています。DX人材育成への投資もこの予算計画の中に組み込まれています。
出典:兼松株式会社「中期経営計画「integration1.0」」P.35
DX実現にあたってお客様からのサーバーセキュリティ対策の要請は強く、お客様と向き合うフロントパーソンがサイバーセキュリティの要請に応えられることが求められます。 一方で、フロントパーソンは普段の活動においてサイバーセキュリティについてお客様と議論をする機会が多くなく、 提案を進めるにあたってサイバーセキュリティに対する知識を身に付けることが喫緊の課題となっていました。そこで、フロントパーソン2,000名に対し サイバーセキュリティに関する基礎知識を身に付けることができる教育講座「SecuriST®ゼロトラストコーディネイター」を受講することから始めることとなりました。
「SecuriST®ゼロトラストコーディネイター」は「ゼロトラスト」の考え方・要点の理解から導入計画の立案までを学ぶ講座です。 ゼロトラストの概念を理解した上で、組織の状況や課題に合わせて持続可能なセキュリティ対策を実現する人材を育成することができます。 IT企業の営業や企画職、セールスエンジニアやフィールドエンジニアをはじめとした技術職の方だけでなく、発注側のITシステム担当者にも役立つ講座です。 2021年12月にサービス提供を開始し、累計7,000名を超える受講者の理解度は約90%、内容の有益度については99%という評価を得ています。 兼松様ではお客様と向き合う営業職などのフロントパーソン2,000名が「ゼロトラストコーディネイター 入門編」を受講されました。
「グループ成長戦略推進室ではDX推進実行に向けた環境整備の役割を担っており、DX人材育成も1つの役割です。受講を通じてサイバーセキュリティに関する知識がない中でも、セキュリティの用語を覚えることや体系的な知識のインプットを行うことができました。また、どのような流れでお客様に対しお話をすればいいのかも掴むことができました。このような人材育成プログラムの提供に加え、顧客ごとの類似業界別サイバーセキュリティ事例などを独自に収集し、フロントパーソンに情報提供する環境整備を進めており、各所と連携してDX推進を支援しています。」(グループ成長戦略推進室長 松浦 和弘氏)
「食品第一部ではコーヒー、酒類、果汁、ゴマ、ナッツなど食品メーカー・素材メーカー・量販店がお客様です。お客様側でのDXが急速に進んでおり、サイバーセキュリティ対策についてもお客様の注目度は高いのですが、まだまだこれからの企業は多く、特に中堅・中小企業のお客様はその傾向が強いと感じています。自身も部員もこれまでサイバーセキュリティに対するリテラシーはそれほど高くはなかったのですが、受講を通じてサイバーセキュリティに関する基礎知識を身に付けることができました。また、事例もあり理解が深まったたお客様への提案だけでなく、社内のシステム運営にも活かすことができそうです。部のメンバーは比較的若手が多く、ITに対する親しみもあるため講座の理解が進んだと感じています。サイバー被害を受けた際のビジネス停止インパクトは大きく、お客様のサイバーセキュリティ対策に対する意識も近年高まっており、積極的に提案を進めていきます。」(食品第一部長 兼 飲料・酒類課長 齋藤 雅剛氏)
「車両・航空統括室では車両・航空といった製造業を中心にお客様を持ち、航空機の機体を輸入して納めたり、 車両関連部品を仕入れて海外の車両メーカーへ販売したりしています。航空宇宙関連企業では政府向けに取引を行っている企業が多く、 セキュリティガイドラインへの準拠が求められており、自動車関連企業ではグローバルなサプライチェーンにおけるセキュリティ対策が必要であるという認識が高まっているなど、 お客様からのセキュリティ対策ニーズは旺盛です。他部門同様に部員のセキュリティに関する知識は高くありませんでしたが、 受講を経て理解を深めることができました。部員のITリテラシーを鑑みると、もう少し鍛錬が必要と感じますが、自分ごとになるよう繰り返し取り組んでいきます。 製造業ではOTセキュリティや各種ガイドライン対応が求められるようになってきているため、提案を通じて入り込めるようにしていきたいと考えています。」 (車両・航空統括室 次世代モビリティ事業開発課長 杉山 宏太朗氏)
このようにサイバーセキュリティにこれまで関係性が比較的強くなかったフロントパーソンの皆様にも、ゼロトラストコーディネイターの受講を通じてサイバーセキュリティの基礎知識を身に付けて頂くことができました。
ゼロトラストコーディネイター講座内容
ゼロトラスト導入のステップに合わせて、ゼロトラストの概念・要点の理解から導入の企画までをカバーした講座です。
【入門編】ステップ1:ゼロトラストの理解
- 第1章 境界防御の限界
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第2章 境界防御の課題を克服する
ゼロトラストの考え方 - 第3章 ゼロトラストの導入ステップ
【基礎編】ステップ2:現状把握から企画
- 第1章 入門編の復習
- 第2章 導入ステップ1の進め方
- 第3章 導入ステップ1を事例で振り返る
【応用編】ステップ3:ステップ1,2の技術要素
- 第1章 入門編・基礎編の復習
-
第2章 4つの検証を支える技術 その①
アクセス元の検証 -
第3章 4つの検証を支える技術 その②
アクセス先の検証 -
第4章 4つの検証を支える技術 その③
通信のやり取りの検証 -
第5章 4つの検証を支える技術 その④
ポリシーの検証
DX化提案を進めていくにあたり、フロントパーソンが従来相対するお客様窓口の多くは購買・調達であるため、 アプローチ手法を変えていく必要があると常務執行役員の蔦野氏は述べています。セキュリティは経営課題であることから、 お客様の経営層にトップアプローチを行い提案を進めていく方法と、セキュリティに感度があるマーケティング部門にアプローチする手法で提案を進めています。 また、DX推進を実現していくにはマネジメントが重要であると斎藤氏は語りました。
ここまでのお話を総合すると、「仕組み」「動機付け」「知識」が一体になって機能することでDX推進が実現されるものと考えられます。
兼松様では今後「ゼロトラストコーディネイター 基礎編」の受講を進めることで、さらなるセキュリティ知識を習得し、お客様のDX推進・セキュリティ対策の支援を加速しく計画となっています。
- 差別化戦略としてのDX・セキュリティ
経営戦略としてDX・セキュリティを捉えることで事業推進に対するガバナンスを利かせていらっしゃいます。 - 実行を促す推進体制と予算
実行を推進する組織構築と実行に対する予算を確保することで人材育成を推進していらっしゃいます。 - お客様ニーズを捉える眼
お客様のニーズを的確に捉え、何をすべきかを理解し、備え、実行していらっしゃいます。 - ゼロトラストコーディネイターの有用性
セキュリティ知識が豊富でない方でも基礎的知識を身に付け、お客様と対話ができるようになっています。
会社名
兼松株式会社
本社所在地
東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー
設立
明治22年(1889年)8月15日
資本金
277億81百万円
従業員数
(2024年9月現在)
単体:812名 連結:8,353名
代表取締役社長
宮部 佳也
「ゼロトラスト」の考え方・要点の理解から導入計画の立案までを学ぶ講座です。ゼロトラストの概念を理解した上で、組織の状況や課題に合わせて持続可能なセキュリティ対策を実現する人材を育成します。IT企業の営業や企画職、セールスエンジニアやフィールドエンジニアをはじめとした技術職の方だけでなく、発注側のITシステム担当者にも役立つ講座です。
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