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Report株主通信

Top Interviewトップインタビュー

2024年3月期は売上高・利益とも過去最高額を更新し、
中計で掲げた年率25%成長を上回ったGSX。
引き続き旺盛な需要の取り込みによる安定成長が見込めるものの
さらなる飛躍を目指し、新たな戦略を打ち出すチャレンジの年となった。
代表取締役の青柳史郎が描くGSXの未来構想についてお話しいたします。

2024年3月期の事業環境と業績の振り返り

インシデント案件が急増する市場で存在感を示した
どんな事業環境においても売上を創出できる事業ポートフォリオであることを改めて証明
セキュリティ人材特化型ビジネスを分社化し、成長加速に備えた組織を整備

代表取締役社長 青柳史郎
代表取締役社長青柳史郎

2024年3月期も前年度に引き続き、緊急性の高いインシデント対応の需要が増加しました。
セキュリティ市場全体の規模拡大はベースにあるものの、ニーズを細かく分けると時期によって偏りが発生するのがこの領域の特徴です。当社はそんな業界の変化の速さを、長きにわたって身をもって体感してきましたので、どんな事業環境においても売上を創出できるポートフォリオリオの構築をここ数年進めていました。2024年3月期はあらためてこのポートフォリオの効果を証明できた、大きな収穫のある1年でした。

業績は、売上70億294万円(前期比26%増)、営業利益11億1302万円(前期比51.1%増)、営業利益率は15.9%と主要PL項目のすべてで高い伸長となりました。2023年6月に開示した中期経営計画では、年率25%の売上成長を掲げていますが、2024年3月期は目標を上回る26%成長となり、大変順調な1年であったと評価しています。また、売上高の成長以上に利益の成長が著しく、前期比では51.1%の伸長を遂げました。これは人的資本への投資や、後にお話しする業容拡大にかかったコストもこなした数値ですので、これまで築いてきた高収益体質を目指した取組みが功を奏したといえます。

また、当社の4事業のうちITソリューション事業で、セキュリティ人材特化型SES事業を行っていましたが、この事業を切り出し、当社100%子会社「CyberSTAR株式会社」として分社化するという経営判断を下したのも2024年3月期のトピックスではないでしょうか。
慢性的なセキュリティ人材不足という背景から、当事業に対する需要が高いことや、顧客ターゲットを明確にし、より機動的な体制を築くことを目的とし分社化に至りました。

【CyberSTAR】

2024年4月発足
セキュリティ教育カンパニーのGSXだからできる新規領域
セキュリティ人材の育成から提供までワンストップ

CyberSTAR導入のBefore・After CyberSTAR導入のBefore・After

当社全体のビジネスにおいて、「CyberSTAR」によるセキュリティ人材SESビジネスの存在感が強まったことから、今まで2つとしていた顧客ターゲットを3つに引き直しました。
これまで当社のお客様といえば、準大手・中堅・中小企業やIT企業といった企業群でしたが、CyberSTARのお客様は「セキュリティ人材を必要とするすべての企業」です。顧客ターゲットの広がりとともにビジネスチャンスも大きく拡大しています。

さらなる飛躍に向けて展開する経営戦略の内容と狙い

経営戦略

【基本戦略】
既存の事業で年率25%の売上成長

基本戦略は、既存の教育、コンサルティング、セキュリティソリューション、ITソリューション事業で年率25%の売上成長を継続するための戦略で、ビジネスモデルは、準大手・中堅・中小規模のお客様に対するセキュリティサービスの提供。IT企業、SIerが必要とする「プラス・セキュリティ※1」人材の育成。セキュリティ人材特化型SES(システムエンジニアリングサービス)。この3つです。

  1. 自らの業務遂行にあたってセキュリティを意識し、必要かつ十分なセキュリティ対策を実現できる能力を身につけること、あるいは身につけている状態のこと
    【出典】経済産業省「サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き」

【アライアンス戦略】
年率25%の売上成⾧を確かなものにし、
さらなる成⾧を実現するための資本提携・業務提携

アライアンス戦略の軸は戦略的パートナー企業との資本提携・業務提携で、施策は、販路の拡大、新エリアへの進出、リソース(技術とコンサル)の拡大、サービスラインナップの拡充。この4方向で推進。2024年3月期にはこの方針に基づいて、株式会社AGESTとの業務提携契約、株式会社セキュアイノベーション、株式会社ブロードバンドセキュリティ、株式会社網屋との資本業務提携契約を締結しました。

アライアンス戦略

競合相手ともいえる会社と提携するのは、設立時に掲げた「日本全国の企業の自衛力を向上する」というミッションを遂行し、「すべての企業をセキュリティの脅威から護り、そのために必要なことを惜しげもなくお伝えする」という使命を果たすためです。準大手・中堅・中小規模のお客様を対象としたセキュリティサービス市場は、広大すぎるブルーオーシャン。参入障壁が高いこともあり、需要に対して供給がまったく追いつかない状況です。
年率25%のオーガニックな売上成⾧を確かなものにする、あるいはそれ以上の成⾧の余力・可能性を創るために、資本提携や業務提携などのアライアンス戦略を推進することで、中期経営計画の達成確度をさらに高めるとともに、より強い成⾧力をつけられると考えております。

【ファンド組成】
セキュリティ企業が出資し、セキュリティ企業に投資を行う。
国内初のファンドの運用を2024年7月より開始予定。

ファンド組成については、兼松株式会社、兼松エレクトロニクス株式会社、ウエルインベストメント株式会社とともに「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」を2024年4月1日に設立しました。これはセキュリティ企業が出資し、セキュリティ企業に投資を行う国内初のファンドで、特徴は、出資元が投資先を経営面、販路拡大、マーケティングなど、さまざまな領域で支援できること。これが通常のベンチャーキャピタルとはまったく違うところで、同じ業界の企業を「目利き」できるというメリットもあります。

GSXにとっては、「日本全国隅々までセキュリティサービスを届けて自衛力を向上する」という大義と、「セキュリティ業界を盛り上げて成長を遂げる」というビジネスの両立を実現するための手段です。連携によるシナジーも期待できるという意味では、アライアンス戦略とも密接に関わるファンドといえます。目標出資額は100億円。今後はセキュリティ業界の企業や金融機関、機関投資家の皆様に参画を促しながら、2024年7月に運用を開始する予定です。

ファンド組成

経営戦略・施策の効果と
今後の成長イメージ

セキュリティサービス市場において圧倒的な存在として認知され
同業他社にとっても憧れの対象となることが最大の成果

ファンド組成は基本戦略を進めるための新たな収入源であり、アライアンス戦略を加速させるための手段。また、基本戦略とアライアンス戦略にはM&Aのような相互作用もある。これが、3つの経営戦略の関係性です。そしてこの3つの戦略の推進がもたらす最大の成果は、GSXがセキュリティサービス市場における圧倒的な存在として認知されることだと考えています。

突出した存在感を持つ会社には人が集まるものです。GSXと提携した会社、あるいはGSXがファンドで投資した会社が成長して株価や時価総額が上昇すれば、当社に対する注目度はさらに高まり「資本提携をお願いしたい」「M&Aを引き受けてほしい」といった要望が増えてくるでしょう。

「すべての企業をセキュリティの脅威から護り、そのために必要なことを惜しげもなくお伝えする」という使命を果たすには、同業他社にとっても憧れの対象でなければならない。そのことを強く意識して、今後も経営戦略を進めてまいります。

Results Summary決算サマリー

2024年3月期

  • 売上高

    70.2億円 前期比+26.0%
  • 営業利益

    11.1億円 前期比+51.1%
  • 顧客数

    1,346社 前期比+140社

業績推移

  • 売上高 CAGR 44%
  • 営業利益 約15倍
  • 営業利益率 11.3pt up